SEから介護職への転職!


 無資格で飛び込んでも、やる気がある人や、やらざるを得ない状況に置かれている人ならどんどん知識を習得し、技術も身に付いていくのがこの業種の特徴なのではないかと思います。
 自分自身の経験を振り返ってみると、資格取得にかかる費用を負担してくれるところを探すことが、大いにプラスに働くのは間違いありません。




まったくの異業種を選んだ理由は親との時間

 SEとしてバリバリ働いていましたが、勤務時間は長く、毎日残業が当たり前でした。そんなとき、高齢になる父親が認知症を発症したことがわかり、在宅で面倒を見る必要に迫られました。母親が面倒を見てくれていましたが、高齢であることから目に見えて負担が重くなってしんどそうにしているのを見て、これではいけないと転職することを決意しました。
 在宅で面倒を見るというのは大変なことで、まず腰に負担がかかります。認知症はまだ始まったばかりだったので、薬を飲ませながら世話をするのですが、口は達者なことからついカチンとくることも多く、怒鳴り合いになることもしばしばでした。そのたびに母が悲しそうな顔をするので本格的に面倒の見方を学ばなければと真剣に考えるようになったのです。


何もわからずいきなりがよかった

 仕事をするには資格が必要だと思っていましたが、とにかく早くどうにかしなければならないことから資格を取得しに行っている時間はないと感じていました。
 そこで求人募集情報を見てみると、無資格でも採用してくれるところが非常にたくさんあることがわかったのです。
 中には働いている間は賃金をもらえるうえに、資格取得の意志があるならそのための費用を負担してくれるところまであります。これなら資格を取ってステップアップしていくことができるし、その費用も出さなくて済み、さらに現場で実際に仕事をしながら学べるわけですから、ただ勉強するだけよりも理解が早いだろうと考えました。
 経験を積むための勉強している時間にも賃金がもらえるとあって、一石二鳥どころかもっとメリットがあります。そこで無資格でも雇ってくれて、さらに資格取得費用も負担してくれ、自宅からもっとも近い施設に応募することにしたのです。


自分でも気づかなかった思いがけない適正

 黙々と作業をすることが性に合っていると思い、ずっとSEとして仕事をしてきましたが、介護の現場へ転職してからは人と話すことが増えました。
 新規オープンの施設だったこともあって綺麗で設備が整っていたことや、指導してくれる人に恵まれたこともあり、仕事に慣れてきた頃から勉強も同時進行で行いました。さらに、夜勤をすることもあったので、昼間は逆に家で父の介護をすることができたことが母の負担を減らすことにもつながったのは思いがけずよかったことです。
 不思議なもので、何もわからずに飛び込んだのが幸いしたのか、どんな仕事も嫌だと感じることなく取り組めたことから介護職員初任者研修にもあっさりパスできました。資格取得の費用は会社が出してくれましたし、資格を取ったことで時給も上がってまさに一挙両得とはこのことです。しかも、人と話すのが楽しいという意外な自分の適正にも気づくことができました。


キャリアアップができるのもいい

 施設での仕事と在宅での父の介護は大変ではありましたが、しっかりとした知識と技術を身に着け、さらに仕事でどんどん経験を積んでいったことで父の面倒が驚くほどスムーズにみられるようになりました。
 結果的に父を無事に在宅で看取ることができ、よかったと思っています。その後は実務者研修を受けてこれをクリアしたことで、正社員になることができました。
 実務者研修をクリアしたことで、介護福祉士国家試験の受験資格を取得できたことから、これにも意欲的にチャレンジし、一度は不合格になったものの再度のチャレンジで無事合格できました。この数年間はキャリアアップをずっとしていたという実感があり、SEをしていたときよりも充実していると感じます。
 今後はケアマネジャーと呼ばれる支援専門員の資格を取得すべく、さらなる研鑽を積む日々を過ごす日々です。