通所介護の1日の流れ(事例)


 訪問介護施設での仕事は、送迎から始まります。介護そのものも重要ですが、お迎えの段階からサービスはスタートしています。
 気を抜いてはなりません。スケジュール的に決して楽な仕事でもありませんが、その分感謝してもらえたときの喜びはひとしおです。がんばる価値は、大いにある職業といえるでしょう。



通所介護というサービス

 通所介護は、いわゆるデイサービスのことです。施設に住み込んだり、また訪問してもらえるようなものと異なり、高齢者自らが施設に通ってサービスを受けるというものです。
 とはいえ、本人が自身の足で通うわけでもありません。職員が専用の車で送迎して、通所が負担にならないようサポートします。そのため職員は、介護そのものでなく、送り迎えの段階からしっかり気を引き締めておかなくてはなりません。メインのサービスではないものの、1日で一番気を遣うべき瞬間であると思っています。
 その日最初のコンタクトや最後の送り届けは、満足感に大きく影響すると思うためです。私がこの仕事探しをしていたとき、もちろんそんな風には思っていませんでした。
 メインの介護にさえ専念していれば良いと感じていたので、とても意外に思えました。これから通所介護施設で働くことを考えているなら、ぜひ理解しておいてください。


排泄介助や入浴介助は大事な仕事

 施設で働くにおける、1日の流れについて紹介します。もちろん、細かい部分は施設や高齢者の要介護度合いなどによって変わってくるので、あくまで一例として捉えておいてください。主には、「出勤・朝礼→お迎え→健康チェック・排泄、機能訓練→朝食・服薬確認→口腔ケア・排泄→入浴・レクレーション→送迎→記録・報告」といった具合です。
 職員の1日は、決して単純でもないのです。特に重要な部分としては、排泄介助や入浴介助が挙げられるでしょう。直接的に健康を左右する内容でもありませんが、高齢者にとってデリケートに感じる部分に他なりません。そのため、排泄介助・入浴介助の作業そのものはもちろん、気持ちの面への配慮も重要です。高齢者の目線に立って、不満足に繋がらないよう心がけましょう。


服薬や歯磨きなどで健康をサポート

 介護の仕事は、命を預かるサービスともいい換えられます。そのため、ただのサポートと考えず、すべての作業に大きな責任が伴うことを忘れてはなりません。通所介護の中でも特に健康に関連深いものとしては、服薬や歯磨きなどの口腔ケアが挙げられるでしょう。
 病院から出されている薬を、時間通りにしっかり服用してもらえるよう、アドバイスしましょう。施設で適切な服薬に慣れてもらえると、自宅でもその習慣が続けられるようになるため、介護中だけでなく、総合的な健康をサポートすることにも繋がります。口腔ケアにも、同じことがいえるでしょう。歯磨きの正しいやり方や重要性を知ってもらうことで、家庭でおこなう際にも役立ててもらえます。


送迎完了まで気は抜かず

 施設での介護作業が終わったら、担当の高齢者を車で送迎します。冒頭でも触れていますが、最後のお送りまで気を抜けません。1日の仕事が終わるという開放感から気を抜いてしまうと、高齢者の人は雑に扱われているような印象を受け、不満を抱いてしまいます。
 私もこの仕事を始めたての頃は、よく上司に叱られたものです。このときも高齢者の目線に立って、どのような送り出しをしてもらえると気分が良いか、考えながらおこなうことがポイントとなります。覚えておいてください。そして送迎が完了しても、まだ直帰できるわけではありません。再度施設に戻って、記録や報告をおこなって1日の業務が終了となります。このように訪問介護の1日は、どこを切り取っても気を抜ける部分はありません。仕事を始める前と後で印象ががらりと変わるかもしれませんが、日々勉強です。足りない部分を適宜補いながら、利用者に喜んでもらえる職員になれるようがんばってみてください。