介護福祉士になるには?


 人材不足の介護職で、自分の献身性や誠実さを活かしたい、そんな思いから介護福祉士になりました。実務経験3年や特別な研修などが必要となるため、決して簡単な道のりでもありませんでした。
 ですが、密に高齢者をサポートできる職なだけに、この道を歩んだことに一切の後悔はしていません。




介護福祉士とは

 私が介護福祉士を志そうと決めたのは、人材不足が起こっているという情報を知ったときからでした。
 高齢者の割合が増えているにもかかわらず介護職が足りていないとなれば、困っている人がたくさんいるに違いないと思ったのです。正義感や思いやりの大きいタイプであっただけに、より一層そのような気持ちは強かったのでしょう。
 介護福祉士は、国が認めた国家資格です。食事や入浴・排泄・歩行などの介助、さらには国家試験を通った人間だからこそ可能となる、医療行為に近い作業も担当します。
 大きな責任がのしかかる仕事ですが、こうした詳細を知ったとき、私の性格上やりがいをもって臨めそうな印象に感じました。かくして、国家試験を受験して介護福祉士になる道を歩み始めたのです。


ヘルパー2級と実務経験3年

 福祉に関する資格は、さまざまな種類があります。中でも介護福祉士については、結構上位にあたる種類といえます。
 それだけに、受験するためには厳しい条件をクリアすることが欠かせません。主には、介護の現場における実務経験3年、そして介護職員実務者研修の資格を事前に取得するという内容です。
 未経験の私は、まずヘルパー2級の資格を取得して、これら条件を満たすため働き始めました。ヘルパー2級でも、結構本格的な介助などが経験できました。また技術的な面だけでなく、実際お年寄りと触れ合うことで、福祉の重要性や意義の大きさなども学ばせてもらいました。
 ただの作業でなく、人の気持ちと触れ合う行為であるという深みに触れられたことは、とても大きかったと思います。そんな感動体験も重ねつつ、国家資格の受験資格である実務経験3年、そして介護職員実務者研修資格の取得を実現することに至りました。


国家試験を受ける意義

 国家試験は、容易な内容でもありません。国が定める資格なわけですから、やはり一筋縄ではいかないといったところでしょう。
 受験内容は2つに分かれており、筆記と実技のそれぞれがありました。実務経験の中で得た経験値だけではもちろん合格は難しいので、当日に備えた勉強にも力を入れました。筆記試験は主に11科目あり、それぞれ人間の尊厳と自立・介護の基本、人間関係とコミュニケーション・コミュニケーション技術、社会の理解、生活支援技術、介護過程、発達と老化の理解、認知症の理解、障害の理解、こころとからだのしくみ、 医療的ケア、 総合問題からなります。
 実技は、その名の通り介護における専門的技能なので、こちらは実務での経験が大いに役立ちました。国家資格取得者になるということは、ただ仕事の幅が増やせるというだけでなく、より一層の自信や献身性を抱く上でも重要に思えます。難解な試験とはいえ、受けておいて本当に正解だったと思っています。


注射や採血、褥瘡の処理

 介護福祉の資格については、近年少し様変わりしてきています。
 というのも、2012年4月より、作業内容に一部医療行為も含むことが可能となってきているためです。これにより、より密な高齢者の介護が可能となりました。可能になった医療行為としては、耳垢とりや爪きり、口腔ケア、さらにはストーマのパウチに溜まった排泄物除去、自己導尿補助・カテーテルの準備・体位保持、市販の浣腸器による浣腸などがあります。
 また褥瘡の処理や服薬介助といった、医療行為か同化のグレーゾーンにあった作業も、現在は明確に介護職がおこなって良いと認められています。介護福祉とはいえ、結構医療職に近い部分もあるようです。ただ、注射による採血などの踏み入った行為は、やはり専門外となるようです。
 こういった可能である作業の振り分けについても、正しく学んでおくことが欠かせません。すべての高齢者に満足してもらえるよう、これからも正しく誠実な介護福祉職であれるよう心がけていきたいと思っています。