介護力を向上し、満足度をアップ


介護や家庭の問題から社会問題へと発展しています。社会全体で超高齢社会を支え、誰もが満足のいく老後を過ごせるように、サービス提供者のキャリアアップによる満足度の向上が今後の福祉業界には求められるでしょう。


介護力を向上し、満足度をアップ
福祉サービスに求められるもの
対人サービスの落とし穴
サービス向上への具体的な取組
事業所としてのバックアップ


★福祉サービスに求められるもの

 近年、少子高齢化の進行し続ける日本では、要介護高齢者の人口が急激に増加し超高齢社会となっています。介護サービスの担い手は常時不足し、サービスの質の低下や高齢者虐待、独居老人の孤独死など様々な社会問題を引き起こしています。誰しも、安心して暮らせる老後を求めますが、判断力が低下し経済力もなくなった高齢者を支えるためには、福祉サービス提供事業所がサービスの質を向上させなくてはなりません。福祉業界全体に言えることですが、サービスの質の向上には対人サービスである以上、第一線で人的サービスを提供する介護職員のキャリアアップが必須となります。福祉現場のキャリアアップについて、福祉サービス提供事業所や従属する専門職員、あるいは協働する医療職種などはサービス向上の仕組みを理解し、日々研鑽することが急務となっています。


★対人サービスの落とし穴

 対人サービスである以上、そのサービスの顧客満足度やニーズの充足度については、利用者側の裁量にゆだねられます。そのサービスの空間は密室で行われることがあり、そこに福祉サービス事業の落とし穴があると言われています。対人サービスの秘密性と透明性確保という相反する事象が、サービス向上の大きな妨げになることは否めません。例えば、秘密性を高め顧客の個人情報を保護するあまり、チームケアが実践できず利用者の囲い込みなどが起こる可能性があります。また、密室性の高さと高齢者の意思疎通能力の低下や認知症による行動障害により、虐待などのリスクも高まります。かといって、透明性を高めれば、高齢者施設利用という世間のレッテルや、認知症という病気の特有性を恥じる利用者やその家族からサービス利用を拒否される可能性もあります。


★サービス向上への具体的な取組

 福祉サービスの担い手のキャリアアップには、まず研修制度の活用が挙げられます。サービスの秘匿性や透明性のバランスについて熟知し、現場にフィードバックすることで統一されたケアを実践するための実践リーダー研修などが自治体主体などで開催されています。サービス事業所として、チームケアを実践するためには統一した見解を持つことが重要です。また、個々の従業員のスキルアップとしては、資格取得が挙げれらます。国家資格としては、ケアマネジャーや社会福祉士などのソーシャルワークやケアマネジメントについて理解を深める資格が必要となります。対人援助技術は、日々のサービスの中で磨かれていくと思われますが、さらなるスキルアップのためには、疾病や障害に対して理解を深め専門職としてかかわるための技術もケアを実施する側には求められるでしょう。


★事業所としてのバックアップ

 福祉サービスはチームケアが必要であることは前述したとおりです。ここのスキルアップを目指す場合にも、チーム内の力量の差や、スキルアップの手引きなどは雇用する事業所の支えが無くては成り立ちません。キャリアアップや資格の取得などには、高額な費用や長い研修期間など実務に影響があるものも少なくなりません。従業員の質の向上の積み重ねが、事業所全体のサービスの質の向上につながる仕組みを事業所が理解を示し、バックアップすることが必要となります。昨今では、国家資格以外にも認知症ケア専門士や認定介護福祉士など、資格取得が事業所の収益に直結する資格も増えてきています。また、介護保険施設では従業員の処遇を改善するための加算要件があるため、事業主はそれらの社会制度について常に最新の情報取得に努め、適時従業員のキャリアアップを促す必要があります。